
月次の集計で歩留が落ちていることに気づく。これはよくある形ですが、気づくのが遅いほど原因は追えなくなります。人も材料もロットも入れ替わったあとでは、証拠が残っていません。
歩留が下がったときの見方を、順番で整理します。
最初に見るのは「いつから」
原因を探す前に、変化がいつ始まったかを確定させてください。ここを飛ばすと、調査の範囲が無限に広がります。
日ごと(またはロットごと)の歩留を時系列で並べます。見るのは平均値ではなく、下がり始めた地点です。多くの場合、次のどちらかの形になります。
- ある日を境に段差ができている:何かが切り替わっています。材料ロット、設備の部品交換、作業者、設定値のどれか
- じわじわ下がっている:摩耗、汚れの蓄積、季節要因のように、少しずつ進むもの
段差なら、その前後で変わったものを探せば済みます。変化点の日付が分かれば、調査は半分終わっています。
次に見るのは「どこで」
歩留は最終工程の数字ですが、落ちた場所は途中かもしれません。工程ごとの通過数と不良数が取れているなら、工程別に分けて見ます。
工程別のデータが無い場合は、まずそこを取り始めてください。全工程でなくて構いません。不良が出やすいと分かっている工程の前後だけで十分に効きます。
そのうえで「何が」を絞る
いつ・どこが分かってから、原因の候補を絞ります。順番はこの通りにしてください。
- 材料ロット:変化点の日に受け入れたロットが変わっていないか
- 設備:部品交換、清掃、設定値の変更、停止回数の増加
- 人:その工程を担当した人が変わっていないか、新しく入った人がいないか
- 条件:温度・湿度・速度など、記録している設定値の変化
不良の種類が分かるなら、種類別に件数を並べて、多い順に見るのが早道です。不良の大半は少数の種類に偏ります。全部を平等に調べる必要はありません。
「相関がある」を「原因だ」と読まない
ここが一番危ないところです。「Aさんが入った日から歩留が落ちた」は、Aさんが原因だという意味ではありません。同じ日に材料ロットが変わっていたかもしれないし、Aさんが難しいロットに割り当てられていたのかもしれません。
データで言えるのは**「同時に起きた」まで**です。原因かどうかは、条件を戻して確かめるしかありません。1つ戻して、歩留が戻るかを見る。同時に2つ変えると分からなくなります。
特に人を原因として扱うときは慎重にしてください。誤って結論づけると、記録を正直に付けなくなります。記録が歪むと、次の調査ができなくなります。
分からないときは「分からない」と書く
データが足りず判定できないことは普通にあります。そのときは「材料ロットとの関連は、ロット記録が無いため判定不可」と、はっきり書き残してください。曖昧なまま「たぶん材料」と決めると、次に同じことが起きたときに同じ場所を掘り直します。
判定不可と書いた項目は、そのまま「次に取り始めるデータ」の一覧になります。
AI工場長 becon は、歩留の変化点を日々見て、下がり始めた地点と、同じ時期に変わっていたものを一覧で返します。原因の候補は仮説として提示しますが、断定はしません。何が取れていて何が取れていないかの確認は、無料の現場診断でご一緒します。


