
欠品が続くと在庫を増やし、資金が詰まると在庫を削る。この往復を繰り返している工場は少なくありません。原因は、安全在庫を「1つの数字」で持っていることにあります。
1つの数字では判断できない
「材料Aの安全在庫は200kg」と決めたとします。いま在庫が210kgあるとき、これは安全でしょうか。答えは「分からない」です。明日200kg使うなら危ないし、来週まで使わないなら余っています。
在庫は点ではなく帯で見るほうが、現場の判断に合います。帯を3つに割って色を付けると、誰が見ても同じ結論になります。
- 緑:十分ある。何もしない
- 黄:減ってきた。発注の準備をする
- 赤:足りない。今日中に手を打つ
帯の幅は3つの数字で決まる
色を分ける境目は、勘ではなく次の3つから決めます。
- 1日あたりの使用量:直近の実績から出します。季節で振れる品目は、その期間の実績を使います
- リードタイム:発注してから入るまでの日数。カタログの日数ではなく、実際に何日かかったかの実績を使ってください。ここが一番ずれます
- 振れ幅:使用量やリードタイムがどれくらいばらつくか。安定している品目は帯を狭く、ばらつく品目は広く取ります
たとえば1日15kg使い、リードタイムの実績が5日、多い日で20kg使うことがあるなら、入荷を待つ間に必要なのはおよそ75〜100kg。ここを下回ったら黄、その半分を切ったら赤、というように境目を置きます。
色ごとに、やることを決めておく
信号を作っただけでは何も変わりません。色ごとの行動を先に決めるのが要点です。
| 色 | 状態 | やること |
|---|---|---|
| 緑 | 帯の上のほう | 何もしない。見に行く必要もない |
| 黄 | 帯の中ほど | 発注をかける。通常のリードタイムで間に合う |
| 赤 | 帯の下のほう | 今日中に発注。間に合わないなら、製造順の入れ替えを検討する |
黄で必ず動くのがコツです。赤になってから動くと、特急便や代替品の手配で余計な費用がかかります。**赤は「失敗した状態」**と捉えてください。赤の件数が減っているかどうかが、この仕組みが効いているかの指標になります。
全部の品目にやらなくていい
100品目すべてに帯を設定しようとすると、たいてい途中で止まります。まず切れると製造が止まる品目と、リードタイムが長い品目だけに絞ってください。数十品目で十分に効きます。
逆に、近所で明日買える資材に帯を作っても効果は薄い。手間をかける先を選ぶこと自体が、この方法の一部です。
境目は見直す前提で置く
最初に置いた境目は、まず当たりません。**赤になった品目は「境目が低すぎた」、ずっと緑のままで在庫が積み上がる品目は「境目が高すぎた」**というだけの話です。月に1回、赤になった品目と動かなかった品目を見て、境目を上下させてください。
AI工場長 becon は、この赤・黄・緑をデータから毎日計算し、「今週、欠品しそうなもの」を聞かれたときに色つきで答えます。実際のやりとりはやりとりサンプルで、入力不要でご覧いただけます。


